モトヤフォントの導入事例 お客様の声
『佐藤商事株式会社』
1930年創業。鉄鋼・非鉄金属、電子材料、機械、工具、雑貨、貴金属宝飾品、建設資材、環境関連商材などの国内販売及び輸出入といった事業を手掛ける総合商社。ライフ営業部門では自社工場やグループ企業によって調理器具や銀製品などの生産から販売も手掛け、さらにライフエレクトロニクス分野では家庭用カラオケ機器など家庭生活を豊かにするアイデア商品の輸入・販売を行っています。
「オン・ステージ」 本体をテレビに接続し、ワイヤレスマイクでカラオケが楽しめるマイク一体型カラオケシステム。最新バージョンでは通信対応となり、新曲をインターネット回線を経由して配信することが可能になりました。オープンプライス。
マイク一本ですぐにカラオケが楽しめる「オン・ステージ」。今回、2012年に行われたバージョンアップの中で、ひとつの目玉機能となったのが「画面表示に採用したユニバーサルデザイン(以下、UD)フォント」です。このフォントに選ばれたのがモトヤの「NUDモトヤEXシーダ3」でした。選択の理由や歌詞表示に向いたフォントの条件などについて、販売元である佐藤商事に伺いました。
「オン・ステージ」はマイク一体型カラオケシステムです。テレビと接続するだけですぐに楽しめる内蔵曲は数百曲以上あり、自宅で本格的なカラオケが楽しめる、とシニア層を中心に高い人気を誇ります。
2012年12月に販売されたリニューアル製品では、ディスプレイサイズが大型化する家庭のテレビ事情の進化に合わせて、これまでのビデオ入力からHDMI接続が可能になり、ハイビジョンに対応しました。
「2011年7月にスタートした地デジ化に前後して、お客様からはアナログ接続のまま地デジ対応のテレビに画面を表示すると画像や文字が粗いという声が挙げられていました。これを解消することが今回の一番の目標です。合わせて、ハイビジョンテレビでも美しく鮮明に表示される文字も必要だろうと、特に歌詞表示に重点を置いたフォント探しに着手したのです」(安藤和隆氏)
従来の「オン・ステージ」で使われていた組み込み専用文字はビットマップフォントで、いくつかの表示サイズから画面内の表示スペースに合わせたサイズを選んでいました。そのため、メロディによってボリュームの変わる歌詞の表示においてさまざまな制限があったそうです。
せっかくハイビジョン対応を謳うなら、スケーラブルなフォントでジャギーのない鮮明で読みやすいフォントに変更したい。こう考えて「NUDモトヤEXシーダ3」が選ばれました。
2012年12月に発売された最新版の「オン・ステージ」では、画面表示用の統一フォントとして「NUDモトヤEXシーダ3」が採用されました。カラオケメニューや曲選択といった文字数が多い場面でも、明解なフォントデザインによってスッキリとした印象を与えます。
UDフォントを選んだ理由について、その選定に携わったLE営業部、IT企画担当の岩田和央氏は「そもそもの始まりはパンフレット制作」と振り返ります。
「この『オン・ステージ』は特にシニア層からお問い合わせを頂く機会の多い製品です。パンフレットには内蔵曲の一覧を掲載しており、新曲に対しては赤色の地色に黒い文字で強調して紹介してきました。しかしシニア層のお客様からは、この強調が逆効果で赤色はグレーっぽく見えていることが分かったのです。そこから“ユニバーサルデザイン”について改めて勉強する機会を得て、フォントにもユニバーサルデザインの立場にたって作られたものがあることを知りました。パンフレットの改訂と合わせて、ハイビジョン対応のフォント選びも課題として出されていたので、変えるならUDフォントにしたい、と具体的なフォント選びを始めたのが2012年春頃のことです」(岩田和央氏)
岩田氏は、さっそくUDフォントに関する情報収集を始めたそうですが、そのバリエーションの多さに驚いたそうです。「各社いろいろな個性のあるフォントが多くて悩みました」と岩田氏。モトヤのUDフォントに決めた理由は、問い合わせ時の迅速な対応やWeb上のマップサービスやAndroidプラットフォームでの実績を知ったことだったそうです。
「メーカーに問い合わせしたところ、親身になっていろいろな協力を申し出てくれたのがモトヤでした。他にライセンス契約時の価格面も提案が明解でしたね。我々はフォントに関しては素人同然で、“目的があっても手段が分からない”状態。フォント開発メーカーとして老舗のモトヤがバックアップしてくれる、ということで安心して着手できました」(岩田和央氏)
「実は、最初は書体選びでも部内では明朝派、ゴシック派、丸ゴシック派と分かれたんですよ」と岩田さん。結果的に曲ジャンルのイメージを崩さず、汎用性の高いゴシック体(NUDモトヤEXシーダ3)が選ばれました。
佐藤商事が当初から持っていた目的は「歌詞表示の品質を上げるフォントを選ぶこと」。モトヤのUDフォントにしようと決定し、従来使っていたゴシック体からイメージが離れないようにと「シーダ」を選ぶところまではスムーズにいったものの、ウェイト選びには時間が掛かったそうです。
「NUDモトヤEXシーダに決定して、歌詞を表示するフォントを変えるだけでこんなに曲のイメージが変わるものかと驚きました。悩んだのは文字の太さですね。細すぎると見えにくいし太すぎると細かい文字が読みにくい。そこですべての太さでテスト表示してみたところ、歌詞の表示に加えてメニューや曲選択の場面でも見やすい『ウェイト3』に決定しました」(岩田和央氏)
表示用フォントがUDフォントに変わったことで、パンフレットにもそれが明記されるようになりました。『オン・ステージ』の商品をアピールする要素の一つとして、「歌詞の見やすさ、読みやすさ」が加わったわけです。安藤部長は「カラオケは音と文字が商品価値に繋がる」と語ります。
「(通信対応の)新製品を発売するに当たって、以前の商品より抜群に文字が読みやすくなり、テロップに関してはどこにも負けないものができたと自負しています。歌詞表示用のフォントはいわば空気に近い存在なので、お客様から見て違和感のあるものを選ぶと失敗になるわけです。発売してこれまで、文字に関してのご不満を頂いたことはないので、ひとまず成功ではないかと考えています」(安藤和隆氏)
「(モトヤは)我々にないアイデアや専門知識をもっているので、たとえば曲ジャンルに合わせたフォントの切り替えやお客様自身で表示サイズを変更していただくなど、昔なら諦めてしまうようなことも実現できるようになっていくのではないでしょうか。これからも相談できる良いパートナーになってくれることを期待しています」(岩田和央氏)
カラオケの世界では、文字は不可欠なものでありながらその書体にまで気を遣って取捨選択するという事例は少ないそうです。しかし佐藤商事ではユーザーの目線にたって、唄いやすさを後押しする要素の一つとしてフォントの重要性に着目し、その転換を成功させました。
佐藤商事の成功事例をきっかけに、商品価値を引き上げるモトヤのUDフォントも、さまざまな分野に広がっていきそうです。
佐藤商事株式会社
LE営業部長
安藤和隆氏
佐藤商事株式会社
LE営業部 IT企画担当
岩田和央氏