モトヤフォントの導入事例 お客様の声
『株式会社マイプリント』
昭和41年に設立された株式会社マイプリントは、創業当時から招待状や席次表、席札といった婚礼印刷物や年賀状印刷を手掛けてきた企業です。婚礼印刷物は全国 1,500以上のホテルや式場と直接取引し、年賀状でも代理店契約を結ぶ店舗が 14, 000以上。パーソナル印刷分野では国内シェアトップの実績を誇ります。
<右写真>新たに導入されたモトヤフォントによってデザインされたもの。こうした婚礼印刷物は書体デザインに求められる独自ルールが多く、これまで対応に苦慮されてきたそうです。
マイプリントが〝さらなるサービス力の強化〟を目指して導入されたのがモトヤフォントです。とくに「婚礼印刷物で必要とされる〝書体デザイン〟が新フォント導入の原動力」と語る同社生産本部の田中元氏さんに、導入の経緯について伺いました。
「婚礼印刷物は、これまでの様に格式を重んじた和風のフォーマルな物から洋風なデザインも多く選ばれるようになり、多様化して来ています。」と語る田中元氏さん。婚礼印刷物に使われる文字もデザインバリエーションの増加に合わせ柔軟に使い分けることが求められる時代になりました。
一方で婚礼印刷物に使われる書体には慶事使用ならではの慣習やルールがあります。たとえば「草」という文字。楷書体では草冠の間が離れている書体もあり、これは婚礼印刷物では避けておきたい文字のデザインということになります。また、席次表や席札、あるいは招待状と婚礼印刷物の多くにお名前が印刷されますが、これらは同じ書体が使われるとは限りません。印刷物の種類によって書体を使い分けた際、文字の形状が違っていないようにチェックすることもマイプリントの大切な仕事です。
「文字の形状やデザインへの要望に長年対応していく中で、書体を串刺しにチェックして違う文字があればそれを吸収した外字を作る、あるいはその都度文字を修正するなどノウハウが蓄積されてきました。
手作業による文字修正は確実ですが、手間と時間が掛かります。特に最近では短納期への要望が高く、『製販刷新プロジェクト』を起ち上げて、生産工程全体を見直すことになりました。
このプロジェクトの一つとして挙げられたのが『組版エンジンの刷新』です。組版エンジンにはフォント環境が重大な影響を及ぼすため、“作成した文字を外字として管理し、自動化された印刷ワークフローを構築する”ことを目標にフォントベンダー選びが始まりました。
製販刷新プロジェクト内で作成された文字形状のチェックリスト。婚礼印刷物ならではの考え方で細部に渡る文字の修正を行っています。このリストはモトヤにも渡され、書体導入時の変更事案としても用いられました。
新システム導入が構想されたのは 2009年のこと。ここでフォントベンダー選びをするにあたって、マイプリントは以下の 3つのポイントを掲げました。
①「文字品質の高さ」
これは婚礼印刷物というフォーマルな印刷物を作る上での絶対的な条件です。
②「違和感のない書体」
既存のお客様から見て変更前後で違和感がないように、さらなる信頼が得られるように。
③「信頼できるフォントベンダーであること」 技術の裏付けがあった上で多岐にわたる要望を安心して任せられること。
これらの要点から選ばれたのがモトヤです。フォントベンダーの比較時にはさらに 3つの視点があり、選択時にはかなり細かい部分にまでアンテナを張った検討が重ねられました。
「まずは見た印象から得られる〝視覚的〟な要素、そして印刷分野ごとに少しずつ異なるフォントベンダーの市場シェアを調べ、私たちの要求に自動組版システムで組み込める高い技術力を持っているフォントベンダーとして挙がったのがモトヤさんの書体でした。とくにオリジナル筆文字フォントのOTF化、ライセンス契約、和文はもちろん欧文もサポートしてくれること、すでに自作している外字を活かせるかどうかなど、私たちの要求はかなり厳しいものだったと思いますが、モトヤさんはすべてのリクエストに応えてくれました。今思えば、〝フォントの形を変えて欲しい〟なんて良く言いましたよね。私たちのニーズを的確に汲んで速いレスポンスで対応してもらえたので、(プロジェクトの実施項目の中でも)書体に関しては一番スムーズに進んだと思います」(田中元氏さん)
黄色部分は市販と異なるカスタマイズフォントです。
「婚礼印刷物ではお名前を扱うことが多く、外字の作成はかかせません。以前はオペレータが個人単位で作っていたので書体毎の文字形状管理が大変だったのですが、今回は一度作成した文字をすぐに再利用できるようなシステムになり、さらに異体字切り替えできるようになりました。また、OpenTypeフォントによってJISコードの制限からも解放されたので、現場スタッフからも高評価を得ています」。
マイプリントが何よりも大切にしているのが“お客様に最高のサービスをご提供すること”。一生に一度の晴れの舞台で印刷物を通じてお手伝いするという強い思いがあります。フォントは単純にテキストデータとしてではなく、デザインやサービスの一部としても重要な役割を果たします。とくに婚礼印刷物のほとんどはパーソナル印刷なので、文字の品質と形状には並々ならぬこだわりを持って取り組まれているそうです。モトヤが選ばれたのも、書体カスタマイズに対する技術力が認められてのことでした。田中氏は「もちろん、商用二次使用も含め将来のビジネス展開も重視しましたよ。結果として、モトヤに決めて大正解でした」と話します。
“お客様の要望を先取りして文字の形状をデザインする”─マイプリントが求めるカスタマイズ書体への探求からは、新しい書体の使い方のヒントが見えてくるのではないでしょうか。
導入された書体には「モトヤ隷書体」もあります。これは全国チェーン展開する式場からのリクエストによるものだそうです。
明朝体の横棒もかすれずに印刷できる点も、「文字デザインがしっかりしている証拠」と高く評価して頂きました。
マイプリントが運営する婚礼印刷物専門店 【ペーパーコンシェルジュ】では、同社が手掛けるデザインをすべて確認できます。さらに、この印刷物を扱う式場検索ができるので、お客様との相互ビジネス支援にも繋がっているそうです。
URL:http://www.ppcg.jp/
表参道にある「ギャラリー表参道」では、ペーパーコンシェルジュでご紹介している商品を、実際見ることができます。
定休日:水曜日(年末年始休みあり)
営業時間:11:00~19:00(電話による完全予約制)
※最終受付時間18:00
住所:〒107-0061 東京都港区北青山3-5-15
ミヤヒロビルA棟2F
電話:03-6894-5503 FAX:03-6894-5506
株式会社マイプリント
生産本部 生産企画部 担当部長 田中 元氏 氏